このコラムを担当することとなって、あらためて備前焼について考えてみた。
「日本六古窯のひとつでその起源は平安時代に遡るとされ、釉薬を使用しない土味を前面にだした陶器で現在の中心地の地名にちなみ伊部焼ともいわれる。」とまあここまでは皆さんご存知のことと思う。
六古窯といえば
- 瀬戸焼:愛知県瀬戸市
- 常滑焼:愛知県常滑市
- 越前焼:福井県丹生郡越前町
- 信楽焼:滋賀県甲賀市
- 丹波立杭焼:兵庫県篠山市今田町立杭
- 備前焼:岡山県備前市伊部
の六ヶ所で小山富士夫(陶磁器研究者・陶芸家)の命名である。
焼き物をご覧になれば見た目この六つがあまり区別がつかないことに気づくだろう。これはしかたのないことで、登り窯などで1200度程度の高温焼成し釉薬を使わないという点では変わりがない。しかし、かたちや焼き上がり土味などの微妙の差異を感じ取り区別がつくようになれば、熟逹愛好家の快感を演出することにもなる。とくに桃山期における茶道との美の邂逅はその後の陶器のあり方に大きな道筋を与えたと言えるだろう。
「美意識」と「焼き物」の出会いは実はこの時(桃山)が始めてという訳ではなく、しいて言うなら久しぶりの再会である。この歴史的な経緯を振り返りながら「なぜ焼き物(陶器)が美しいのか?」というテーマに迫ってみたいと思う。
…..to be continued