作家より

小山真吾の造形表現とそのコンセプト

私の出生地は、備前市伊部です。生まれた時から、備前焼が生活の一部でもあり、全てでもある環境のなかで育ちました。

短期大学を卒業後、岡山県重要無形文化財「金重素山先生」の下で、内弟子として六年間修行し、その後平成二年に独立。

内弟子時代、「土の大切さ」を厳しい修行のなかで体得しました。「ひよせ」と呼ばれる田土(堅い岩のようなもの)を割り、目の細かさによって三種類に選別します。別けた土をさらに小さく砕きます。この作業は一日かかっても、両手に盛るくらいしかできません、がしかしこの作業が、良い土味を出すための粘土作りの要となるのです。

こうして手間ひまをかけた粘土で、作陶に入ります。作陶出来るすべてのことに感謝しながら、ろくろをまわすと、土が自然に良い形を生み出してくれます。

無釉陶器である備前焼は、焼上がりにもとても魅力があり、窯変・胡麻・緋襷・桟切などの焼けの種類があります。なかでも土味が全面に出せる緋襷に力を注いでおり、そのため土に関しては、田土のなかでも特に質の良い「ひよせ」を使用しております。

作品としてはろくろとタタキを主に、茶道具・食器・酒器等を制作しますが、そのなかでも水指・酒器を得意とし、近作では、オブジェ風の大型の花器や細工を施した香炉類なども手がけてまいりました。

私はいつも「初心を忘れず」「動きのあるおおらかな作風を目指す」そんな作陶を今後とも心がけていきたいと思っています。





対談後記

小山真吾は伊部生まれの伊部育ち、その素朴さが魅力の人だ。

1964年東京オリンピックの年に二代目小山一草の長男、そして細工物の名手初代小山一草の孫として生まれる。彼の陶芸家としての成り立ちはこの備前焼の家で育ったことによるところが大きいのはもちろんだが、二十歳で入門し6年間過ごした「金重素山」の内弟子時代が真吾を創ったといってよいだろう。彼の作品が「深みのある土味、自然なかたち、そして品格」を求めているのも師匠「素山」にあこがれ傾倒している故だと感じる。素山は真吾に最初の半年、ひたすら土を叩かせ選らせたという。きっと彼の辛抱強さが試されたのだ。その後、工房に入れるようになっても具体的なことを指導された記憶はないとのことだから、今時では考えられない貴重な「内弟子生活」だったのだ。 師匠の手伝いのかたわらひたすらその仕事を目に焼き付けるという修行を終えた真吾は父親のもとに帰り現在の伊部駅南の工房で自らの作陶生活に入り4年後30歳でデビューを果たす。

彼は初代一草の血を引いたのか「少々酒をたしなむ方」である。普段から寡黙な人だが、その飲みっぷりはわずかに饒舌になるもののおよそ乱れることのない端正なたたずまいだ。そして作品はといえば、自身の姿があたかもそのまま現れたのかと思うほどの「緋襷(ひだすき)の徳利」が素晴しく心ひかれる。深い土に渋い緋、微妙なずれが生むバランス、もしかして彼の酒への愛情が映っているのかもしれない。それ以外の仕事も確かな技に支えられた落ち着きのある作風が光る。

素山ゆずりの轆䡎の仕事にくわえて、小山家の得意とする細工物にも意欲をみせる真吾であるが、いよいよ50代を目前にその真骨頂を見せる時がやってきたと感じる。

私は今後の小山真吾の、その素朴さと受け継いだ精神との交歓による「新しい備前観」の誕生にさらなる期待をよせたい。

<対談後記:近重博義>

作品一覧

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作家略歴

昭和39年 2代目一草の長男として誕生
昭和59年 浪速短大デザイン美術科(工芸)卒業
岡山県重要無形文化財金重素山氏に師事
平成2年 独立
平成12年 一水会木下記念賞受賞
平成13年 茶の湯の造形展優秀賞
平成16年 岡山県文化交流訪中団派遣事業に参加
受賞歴 岡山県美術展覧会 奨励賞2回,入選11回
一水会陶芸部会展 木下記念賞,佳作賞4回,入選14回
茶の湯の造形展 優秀賞1回,奨励賞2回,入選8回
織部現代茶陶展 入選3回
日本伝統工芸中国支部展 入選8回
第29回備前陶心会展 備前市長賞
第37回備前陶心会展 OHK岡山放送局賞
第41回備前陶心会展 RSK山陽放送局賞
日本伝統工芸展 入選3回
第17回日本陶芸展 入選
第20回日本陶芸展 入選(賞候補)
2007おおたき北海道陶芸展金賞
2008おおたき北海道陶芸展伊達市議会議長賞
おおたき北海道陶芸展 入選2回
平成20年全国伝統的工芸品公募展入選
個展歴 平成 9年 伊勢丹浦和店
平成13年 美術工芸品サロン翠
平成14年 備前焼ギャラリー青山
平成16年 備前焼ギャラリー青山
平成17年 天満屋岡山店
平成18年 備前焼ギャラリー青山
平成21年 備前焼ギャラリー青山
所属団体 備前焼陶友会 備前陶心会 日本工芸会中国支部

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